事務所ブログ

2015年1月28日 水曜日

刑事事件 少年犯罪と成人の犯罪

東京都文京区で弁護士をしている野口眞寿です。
こんにちは。

この1月は、新年早々から刑事事件の取り扱いが立て続けにありました。
少年事件もあれば、成年の事件もあり、もりだくさんの一か月です。

少年犯罪は、成年による犯罪の場合とは異なった進行をします。
普通、成年による犯罪は、
①逮捕 → ②検察官送致 → ③勾留 → ④起訴or不起訴 → ⑤刑事裁判
という流れで進みます。

事件は警察官が容疑者を逮捕してから急速に進行します。
まずは検察官送致です。これは一般に「送検」と言われています。容疑者が逮捕されている場合には、身柄を検察庁に持って行きます。送検を受けた検察官は、容疑者を取り調べ、勾留を請求するかどうかを判断します。
検察官が容疑者を勾留すべきだと判断した場合、裁判所に勾留請求を行います。請求を受けた裁判所は容疑者に質問をし、勾留すべきかどうか判断し、勾留すべきだという判断になれば容疑者を勾留します。
この勾留は、原則10日間とされていますが、20日まで延長される場合があります。
この勾留の間に検察は容疑者を取り調べ、容疑者を起訴するかどうかを決断します。起訴された場合にはその後は被告人として身柄拘束が継続するのが通常です。起訴されない場合には、もちろん釈放されます。

ところが、少年事件の場合には、そうはいきません。
少年は、いまだ心身が未熟であることから、今後犯罪をくりかえさないよう更正させることを目的として少年法が特別な手続きを定めているのです。
①逮捕 → ②検察官送致 → ③勾留
までは同じですが、この後検察官は必ず事件を家庭裁判所に送らなければなりません。その後は、
④家裁送致 → ⑤観護措置or審判
となるのです。
この段階では、観護措置となる場合が多いです。
観護措置とは、少年を少年鑑別所に入れ、少年の心身の状況を観るためのものです。期間としては4週間弱となることがほとんどです。
これは、成年と比べて少年の場合は4週間長く身柄の拘束が続くことになるということです。
この4週間の後、少年はいよいよ最終的な結論(審判)となります。
審判では、少年を検察官送致、少年院その他の施設への送致、保護観察、のどの処分にするかが決定されます。
ここでの検察官送致は、一般に「逆送」と呼ばれています。
「逆送」は家庭裁判所が少年を青年と同じ刑事事件で裁くべきと考えた場合になされ、検察官は必ず少年を起訴しなければなりません。
少年院その他の施設への送致は言葉の通りです。
保護観察は、身柄拘束を解かれ、保護観察官の監督のもと、社会で生活していく中で更正を図っていくというものです。
最終的にどの処分になるかは、少年が犯した罪の重さだけでなく、少年の家族や周囲の環境にもよって、「どうすれば少年がしっかり更正できるか」という観点から行われます。

この1月は、この少年事件と成年の事件と両方をさせていただくことになりました。

少年事件では、何度も鑑別所に足を運びました。鑑別所が八王子にあるので、私の事務所からは片道で2時間かかってしまいますが、少年に会わなければ何もできませんから、なんとか時間を作って面会に行っていました。両親とも連絡を取り、審判に向けて報告書を作成してもらうといったことも行いました。
この事件は、なんとしても保護観察で終わらせなければならない事件でした。少年は大学生であり、少年院などに送致ということになれば退学は免れず、将来に大きな禍根を残してしまうからです。
被害者との示談を試みるも、連絡を取ることさえ拒まれる状況で、決して安心できるものではありませんでした。家庭裁判所に送られた時の検察官の意見も、少年院への送致とされていました。
少年からこれまでの生活の状況を聞いて更正への道のりを考えながら、事件を繰り返さないようにするにはどうしたらいいか、少年と一緒に少しづつ考えていきました。大学生ともなればほぼ一人前の大人です。しっかりと彼の意見をくみ取りながら話を進めていかなくてはいけません。

観護措置の期間中に家庭裁判所の調査官や担当の裁判官と話をし保護観察にすべきということを継続的に伝えていきました。最終的には、保護観察とすべきという意見書も作成し、裁判所に提出しました。
我々弁護士の間では、審判前の活動で審判の結論が決まると言われています。審判のその日には、裁判官は既にすべての記録に目を通し、家庭裁判所調査官の報告や、少年鑑別所からの報告、弁護士からの意見書をすべて目を通して結論を描きおわっているからです。そうでなければ当日の思い付きで審判がされることになりかねませんから、当然のことではあります。

結果は保護観察。少年はその場で身柄釈放を解かれ、審判に出席したご両親と一緒に帰ることができました。片道2時間、往復4時間の苦労が報われる瞬間です。


一方の成年の事件です。
普通のまじめな会社員でした。そもそも身柄を拘束する必要がないのではないかと思われるような事件でした。
このような事件では、直ちに身柄拘束を解くべく勾留取り消しを求めていくか、勾留が延長されないよう活動していくかのどちらかになります。
今回のケースでは、初めて面会した時点ですでに勾留がなされていたため、勾留の延長を防ぎ10日で釈放となることを主眼に活動を展開していきました。勾留の取り消しを求めていくことも考え勾留理由開示の請求もしたのですが、休日の関係で勾留満期日近くでないと期日が開けなかったため、延長を防ぎ釈放させるということをメインに据えることになったのです。
幸い、突然の逮捕勾留にもかかわらず、会社には全面的なバックアップを約束していただくことができました。
そのような状況であったため、検察官に対しては、まずは対決姿勢ではなく紳士的に対応しある意味協力していくような方向を取ることにしました。そして検察官が身柄拘束をどのように考えているのか聞き、勾留した狙いを聞き出すことができました。
勾留は法律上は証拠隠滅や逃亡のおそれなどの理由があるときにできることになっていますが、そこに繋がると思われている理由は様々です。ときにはそうした勾留の理由が単なる建前ではないかと思われるときもあります。もちろん検察官はそうは言いませんから、うまく効き方を工夫して匂わせてもわわないといけません。
とはいえ聞けてしまえば、あとはその理由、検察官の懸念を解決するだけです。容疑者の上司の方と連絡を取り、検察官の懸念を解決していくことにしました。幸い困難なことではなかったため、速やかに状況を整えることができました。
その結果を検察官に伝えたところ、検事から「それでは翌日に不起訴とします」という回答を得ることができました。

活動の成果が狙い通りに上がるというのは非常にありがたいことです。

投稿者 初雁総合法律事務所 | 記事URL

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