事務所ブログ

2014年4月 5日 土曜日

兼業主婦の休業損害・逸失利益

こんにちは。
東京都文京区で弁護士をしている野口眞寿です。

最近出た裁判例を網羅的に眺めていたところ,兼業主婦の休業損害について判断した判決が出ていました。

平成26年2月13日福岡地裁判決です。
フルタイムでのアルバイトをしていた兼業主婦の原告は,夫の運転する車に被告の運転する車が追突したため,頸椎捻挫の後遺症が残ったという事件です。

事故にあった場合にはその治療のため働けない期間が生じます。自己がなければ働けて収入を得ることが出来ていた期間
後遺症が残った場合,後遺症によって労働能力が低下しその分収入が減少します。
その減少した収入は事故によって生じたものですので,賠償をしなければなりません。その賠償額は,基本的には自賠責保険での後遺障害等級に応じた労働能力喪失率によって算定をします。
「基本的には」としたのは,裁判所は自賠責の行為障害等級認定には拘束されないからです。この裁判例でも,行為障害等級14級の労働能力喪失率は5%とされているところ,9%の労働能力喪失率を認めています。その話についてはまた後日と致しましょう。

さて,休業損害・逸失利益です。
得られたはずの収入が得られなかったための賠償ですから,フルタイムの勤労者であれば実際に得ていた収入を元に計算をします。
収入のない専業主婦はどうなるのでしょうか。
専業主婦は収入を得ていないように見えますが,主婦業をすることによって夫が収入を得ることを助ける「内助の功」があります。事故によって「内助の功」を果たせなかった期間は確実に存在するのです。
そこで裁判の世界では「内助の功」を金銭化します。すなわち,女性労働者の平均賃金額を持って得られるはずだった収入額だとして損害額を決めるのです。

兼業主婦には一応収入があります。
一般的にはフルタイムであっても会社員として働いている人よりは少ない収入になるでしょうが,収入があるのであればその収入を元に計算をすることになると思われるかもしれません。
しかし,兼業主婦はパート・アルバイトをしながら家事をしているので,「内助の功」もあります。パート・アルバイトで得ている収入だけを見たのではその「内助の功」が評価されていません。
裁判所は「このような兼業主婦の場合,専業主婦についても,女性労働者の平均賃金額を基礎として,家事労働に従事できなかった期間について休業損害が認められることとの均衡等に鑑み,現実の収入額と女性労働者の平均賃金額のいずれか高い方を基礎収入とするのが相当であると解される。」と判断しました。
専業主婦との均衡を考えていることから,兼業主婦が専業主婦より不利になることは避けるべきという考えがみてとれます。当然の考えだと思います。
そして「女性労働者の平均賃金額」と「現実に得ている収入額」の高い方を得られるはずだった収入額として損害額を決めるとしたのです。

同様の考えは平成25年10月30日名古屋地裁判決,平成25年5月27日東京地裁判決などでも示されるところです。

まとめておきます。
フルタイムの兼業主婦であっても,専業主婦と同じく,女性労働者の平均賃金を得られるはずだった収入額として休業損害・逸失利益の賠償を受けることが出来ます。

ただし,保険会社は自ら作成した基準で支払いをしようとします。ここで説明している裁判基準での賠償を認めさせたい場合には,弁護士からの請求が効果的です。


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投稿者 初雁総合法律事務所 | 記事URL

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