事務所ブログ
2016年3月19日 土曜日
よくわかる裁判手続き②
相談者「訴状が送られてきて、第1回期日が○月○日○時からなんです。先生行けませんか?」
弁護士「その時間は別件が入っていますが、心配することはありませんよ。第1回は答弁書さえ出しておけば、被告は欠席していいんです」
相談者「えっ、大丈夫なんですか」
弁護士「全く問題ないですよ」
東京都文京区で弁護士をしている野口眞寿です。
今回も弁護士よくある会話集です。
さて、前回「よくわかる裁判手続き①」では、訴状を出してから第1回期日が決まり訴状が被告に送られるまでの流れをご説明いたしました。
今回は、その後の被告側についてです。
第1回期日の日程は、被告側には何の相談もなく決定され、通知されます。
そうすると、当然、その日被告は別の予定が入っていていけない可能性があるわけです。
勝手に期日を設定しておいて、欠席したからと不利な判決を出すことは、どうみてもフェアではありません。
そこで民事訴訟法には、次のように規定されています。
(訴状等の陳述の擬制)
第百五十八条 原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。
最初にすべき口頭弁論の期日、というのはまさに第1回期日の事です。
法は「原告又は被告が」と記載していますが、第1回期日に出頭しないのは、実際は必ず被告側です。
それは、当事者双方が裁判に欠席するとどうなるか、ということとも関連しています。
(訴えの取下げの擬制)
第二百六十三条 当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、一月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす。当事者双方が、連続して二回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をしたときも、同様とする。
つまり、双方が欠席した場合、期日指定の申し立てをしないと訴えの取下げがあったものと扱われてしまうのです。
被告にとっては望むところですが、原告にとっては大問題です。
その結果、第1回期日には原告が必ず出頭する形となるのです。
ごくまれに、原告が来ず被告が来ている、ということもありますが、そのような場合、被告は法廷に入らず「出頭しなかった」ことにして上記263条の成立を狙います。
さて、少し話はそれましたが、まとめると、
民事訴訟法158条で、第1回期日については答弁書を出しておけば欠席してもその答弁書の内容を法廷で述べたと扱ってくれることになっているので、被告は第1回期日を欠席しても問題はない。ということになります。
そして、現実にも、第1回期日に被告側弁護士が出頭してくることはめったにありません。
法律のうえでも、実際の運用でも、それで問題ないものとしてなっているというわけです。
弁護士「その時間は別件が入っていますが、心配することはありませんよ。第1回は答弁書さえ出しておけば、被告は欠席していいんです」
相談者「えっ、大丈夫なんですか」
弁護士「全く問題ないですよ」
東京都文京区で弁護士をしている野口眞寿です。
今回も弁護士よくある会話集です。
さて、前回「よくわかる裁判手続き①」では、訴状を出してから第1回期日が決まり訴状が被告に送られるまでの流れをご説明いたしました。
今回は、その後の被告側についてです。
第1回期日の日程は、被告側には何の相談もなく決定され、通知されます。
そうすると、当然、その日被告は別の予定が入っていていけない可能性があるわけです。
勝手に期日を設定しておいて、欠席したからと不利な判決を出すことは、どうみてもフェアではありません。
そこで民事訴訟法には、次のように規定されています。
(訴状等の陳述の擬制)
第百五十八条 原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。
最初にすべき口頭弁論の期日、というのはまさに第1回期日の事です。
法は「原告又は被告が」と記載していますが、第1回期日に出頭しないのは、実際は必ず被告側です。
それは、当事者双方が裁判に欠席するとどうなるか、ということとも関連しています。
(訴えの取下げの擬制)
第二百六十三条 当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、一月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす。当事者双方が、連続して二回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をしたときも、同様とする。
つまり、双方が欠席した場合、期日指定の申し立てをしないと訴えの取下げがあったものと扱われてしまうのです。
被告にとっては望むところですが、原告にとっては大問題です。
その結果、第1回期日には原告が必ず出頭する形となるのです。
ごくまれに、原告が来ず被告が来ている、ということもありますが、そのような場合、被告は法廷に入らず「出頭しなかった」ことにして上記263条の成立を狙います。
さて、少し話はそれましたが、まとめると、
民事訴訟法158条で、第1回期日については答弁書を出しておけば欠席してもその答弁書の内容を法廷で述べたと扱ってくれることになっているので、被告は第1回期日を欠席しても問題はない。ということになります。
そして、現実にも、第1回期日に被告側弁護士が出頭してくることはめったにありません。
法律のうえでも、実際の運用でも、それで問題ないものとしてなっているというわけです。
投稿者 初雁総合法律事務所