離婚問題

2015年5月12日 火曜日

離婚の後の子どものこと

離婚の際には、両親のどちらかを親権者に定めなければなりません。
親権者に定められた親は、子どもが成人するまで、親権を行使することになります。

○親権者が死亡した場合には?
では、その離婚の際に親権者となった親が死亡してしまった場合、親権はどうなるのでしょうか?

実は、親権者はいなくなります。
もう一方の親が生きていても、子どもの親権が自動的にその親の元に行くことはありません。

その瞬間、子どもは一人で社会に放り出されてしまいます。

生活をしていくにはお金が必要です。
お金の問題だけではありません。子どもだけでは大きな契約は何もできません。住居も変えられませんし、銀行口座も作れませんし、携帯電話も持てません。

○未成年後見人
もちろん、それでは子どものためにならないので、「未成年後見」という制度があります。
親権者がいない子どものために、親に代わって子どもの面倒を見る人を決める制度です。

民法では、未成年者に対して親権を行う者がないときに貢献が開始するとされています(民法838条)。

親権者は、未成年後見人を誰にするか、遺言で指定することができます(民法839条1項)。
この定めは、親が「この子を託したい」と思った人物に子どもを託すために設けられているものです。

○もし未成年後見人を指定しなければ?
もし親権者が未成年後見人を指定していなければ、裁判所が未成年後見人を選任します(民法840条1項)。

ここでデメリットとなるのは、次の2点です。
①裁判所による選任は時間がかかる。
②誰が未成年後見人になるかは裁判所しだい。

時間の点については、まず裁判所に未成年後見人を選任するよう請求をする必要があるので、その請求のための書類を整える手間と時間がかかります。
手間だけでなく、誰がその請求をするのか、未成年後見人の候補者は誰として請求するのか、といったことが問題になることがあります。
親権について争った末に離婚した場合では、親権を取得できなかった方が「今後は俺が面倒を見る!」といって祖父母との間で紛争が再発するケースもあります。

そうした争いを超えて裁判所に選任を請求すると、選任までにそこから1ヶ月~2ヶ月程度かかります。
しかも、裁判所は自らの考えで未成年後見人を選ぶことができるので、候補者として請求した人にならない場合もあるのです。弁護士や司法書士といった専門家が選任されることもあります。

○要注意なのは生命保険
もしものときのために子どもが困らないために、と生命保険に入っている方も多いだろうと思います。

ところが、保険会社は、子どもが未成年のときには、未成年後見人がいなければ保険金の支払いをしないこととなっています。
裁判所での選任には上で書いたように多くの時間がかかります。もしその時に病気や進学などで大きなお金が必要になったら、子どもは支払うことができません。

そんなことにならないためにも、離婚の際には、「私の死後、子どもの未成年後見人として○○を指定します」という遺言を残しておいた方がいいだろうと思います。




投稿者 初雁総合法律事務所

相続相談ガイドに掲載されました
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