事務所ブログ
2014年2月24日 月曜日
法律相談から訴訟まで
東京都文京区で弁護士をしている野口眞寿です。
今日は,法律相談をしてから訴訟に至るまでの流れを説明し,その中で我々弁護士がどのようなことを考えているか,簡単に説明させていただきます。
・アポイント段階
法律相談のアポイントがあったときには,どんな事件かを簡単にお聞きするようにしています。我々弁護士が扱う事件は多岐にわたるので,どんな相談でも100%対応できるように常に準備しておくことは事実上不可能です。
そのため,どんな事件かを聞いておくことで,あらかじめ適用される法律を調べ,詳しく聞き取る必要があるポイントを考えておくなど,いざ法律相談という時にしっかりとした判断を提供できるよう準備することが欠かせません。
・法律相談当日
ここでいよいよじっくりとお話を伺います。まず大まかな事件の流れを伺い,現在の状況を確認していき,相談者様と相手方との関係,相談者様の意向,相手方の姿勢など,弁護士の頭の中に事件の全体像を作っていきます。
その後,法律的な結論を導くために必要な事項をお聞きし,お持ちいただいた資料を細かく拝見いたします。
資料(証拠)は特に注意深く見るようにしています。
訴訟は証拠です。
証拠がなければ厳しい戦いを迫られることになります。
相談者様が望む法律効果を得るためにその法律効果を発生させる法律要件について証拠がそろっているか,注意深く判断しなければなりません。
仮に必要な証拠がないということであればそれを今から整えることは可能かを考えていきます。
証拠がないけどここは大丈夫だろう,という希望的観測はありません。
例えば個人間の貸し借りで,これまでずっと返しますと言っていたからまさか借りたというところは否定しないだろう,と言う相談者様もよくいらっしゃいますが,訴訟になった場合に「お金は受け取ってませんし借りてません。返しますと言ったこともありません」という反論がなされない保証はありません。
万が一そういった反論がされたときには,貸主がお金を渡したこと(金銭授受)と返すという約束をしたこと(返還合意)を証明しなければなりません。
どうやって証明するのか?
物証です。借用書でも録音でも,客観的に間違いのない証拠が必要です。
従って,我々弁護士はまず証拠を見ます。
証拠を見ることで事件が最悪の進行をした場合に勝てるのかどうかを判断し見通しを持ちます。
最後に今後の対応を決めます。
内容証明を送るのか,口頭で請求していくのか,すぐに訴訟を提起するのか,仮処分をするのか,ケースバイケースです。
ここでは,もっともオーソドックスな流れとして,内容証明を送る場合を説明させていただきます。
・内容証明の作成・送付
まず弁護士名義で内容証明郵便を送ることが多いです。弁護士名での内容証明は,それなりに効果があると考えていいと思います。
相手によっては訴訟を提起するまでもなく和解交渉になる場合もありますし,相手が不当な請求をしてきているようなケースではその後の請求が来なくなる場合もあります。
弁護士が内容証明を送るとなれば,当然その後の訴訟まで視野に入っています。
「もしこの件が訴訟になったら」を考えさせるきっかけとして,内容証明は意義のある手段だと思います。
・訴訟提起へ
もし内容証明にも応答がなければ,弁護士の方で訴状の作成を進めてまいります。訴状については,案件にもよりますが資料がそろっている状態であれば概ね数日~一週間程度でご用意いたします。いよいよ訴訟です。
・見通しについて
弁護士として,見通しを持つことは重要です。当事者が感情的になってしまうのは仕方のないことですが,弁護士まで同じ調子で進めていくことには一利もありません。
お聞きした事情と証拠を総合して,どのような判決になりそうかの見通しを持ったうえで,活動することが必要です。
特に負ける可能性がどの程度あるのかを考えることが重要だと私は考えています。
9割がた敗訴しそうな事件であれば,強硬に1割の勝訴判決を狙っていくよりも,6割7割程度の負けに抑えての和解という判断をした方が最終的にプラスとなることもあります。
もちろん,最後は依頼者様の判断です。
しかし,つい「判決だ!」となってしまいがちな依頼者様にリスクを指摘して選択肢を提示することは,専門家として必要な役割だと考えています。
そのため,相談当初から判決の見通しを持って進めていき,訴訟の進行に応じてその見通しを適宜修正していくことが欠かせないのです。
全ては早期の相談から始まります。
あなたの人生の平穏のためにも速やかに相談にお越しください。実際に相談に来られた方の多くが「相談してよかった。安心した」と満足していただいています。
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投稿者 初雁総合法律事務所